ホンダのベストセラースクーターPCXが、4年ぶりに2025年2月6日にフルモデルチェンジ。価格は125で37万9500円、160で46万2000円に上がり、デザインも乗り味も変わりました。買い替える価値はあるのか、125と160のどちらが向いているのか。新旧の差・ライバル比較・実走インプレを数値とともに整理し、自分に合う一台を判断できる材料をまとめます。
ホンダPCX 2025年モデルの変更点と価格を徹底解剖

結論:外装と乗り心地を刷新、エンジンは据え置き
2025年型PCXは2025年2月6日に発売され、税込価格は125ccのPCXが37万9500円(+1万6500円)、156ccのPCX160が46万2000円(+4万9500円)です。V字型LEDヘッドライト、ハンドルカバー、リアサスのリザーバータンク化、ハンドルバー内のダイナミックダンパー追加で、質感と乗り心地を底上げ。eSP+エンジンはEURO5+対応のみで出力性能は前モデルと同値です。
買い替えの判断軸は「外装の刷新」「乗り心地の改良」「価格上昇」の3点で評価するとシンプルです。
注意
欧州・アジアで先行発表されたBluetooth対応の「DX」グレード(5インチTFTメーター搭載)は、2026年4月時点で日本国内には正式投入されていません。
2025年2月発売の新型PCXは何が変わったのか

5代目PCXの変更は、外観・乗り心地・規制対応の3領域に集中しています。基本骨格やeSP+エンジンは4代目(2021年型JK05/KF47)から流用されており、エンジン出力やトランスミッションの方式は変わりません。
外装デザインの刷新ポイント
結論から言うと、2025年型PCXは「ぱっと見で旧型と区別できる」レベルで顔つきが変わりました。具体的にはV字型LEDヘッドライトを新採用し、ポジションランプとウインカーをひとつのレンズに統合。テールランプも従来のX字配置から1ライン式のシンプルなデザインに変わっています。さらにハンドルバーには新たに樹脂カバーが装着され、フロントサイドカバーはスリム化されて足元スペースが広がりました。スクリーンは旧型比でおよそ15mm高くなり、胸元の風当たりが減ります。
ただし、見た目の変化はメリットだけではありません。一部のオーナーからは「カバーの追加でハンドルにバッグフックを後付けしにくくなった」「メッキ調の高級感がなくなった」という声も出ています。通勤用にハンドル周りに荷物を吊るしていた人は、購入前に取り回しを確認しておきましょう。
走行性能を底上げした隠れた改良
意外と見落とされがちなのが、外観以外の地味な改良です。新型ではハンドルバー内部にダイナミックダンパーが追加され、エンジン回転由来の細かな振動が抑えられました。また、リアサスペンションがリザーバータンク付きに変更され、段差を越えたときの突き上げが軽減されています。WebオートバイやMotor-Fanの試乗インプレでは「JF56以来感じていた腰への突き上げが減った」「2時間連続走行でも掌のしびれが少ない」という具体的な評価が出ています。
とはいえ、足回りの改良は誰にとっても明確に体感できるわけではありません。50km未満の街乗り中心であれば差を感じにくいケースもあります。試乗時は段差の多い裏道や継ぎ目の多い橋で確認すると、改良の効果がはっきりわかります。
旧型から継承された強み
「全部変わったの?」という声をよく聞きますが、骨格と動力系は4代目のまま据え置きです。eSP+エンジン、ベルトドライブのCVT、シートカウル下の30Lラゲッジボックス、フロントインナーボックス、Honda SMARTキー、ABS、HSTC(セレクタブルトルクコントロール)はすべて継承されています。シート高764mm、車両重量133kg(160は134kg)、ホイールベースなどの主要寸法も同一です。
ここで気を付けたいのが、継承部分も完全に同じではないという点です。エンジンはECUの再セッティングと吸排気の細部見直しでEURO5+規制をクリアしており、最新規制対応分のコストが価格に乗っているのが実情です。「エンジンは旧型と同じだから買い得」と短絡せず、規制対応分の付加価値も加味して判断してください。
PCXとPCX160の価格と上昇額の内訳
新型PCXの最大の論点は「値上げに見合う改良があるか」です。価格上昇額は125と160で大きく異なり、特に160ユーザーには厳しい数字となっています。
国内価格は125が37万9500円・160が46万2000円
データで見ると、2025年型PCXのメーカー希望小売価格は125が税込37万9500円、160が税込46万2000円です。両車の差額は8万2500円で、4代目時代の差額(約4万円)より広がりました。カラーは両車共通で4色(マットスターリーブルーメタリック/パールスノーフレークホワイト/パールマゼラニックブラック/パールジュピターグレー)展開で、カラーによる価格差はありません。年間販売目標はPCX 18,500台、PCX160 6,500台です。
注意点として、これはあくまで車両本体価格です。実購入時には自賠責保険、登録手数料、納車整備費、希望ナンバー代などで税込40〜50万円程度の総額になるのが一般的で、見積もり段階で本体だけを見ると予算をオーバーしやすくなります。複数店舗で乗り出し総額を比較することをおすすめします。
旧型からの上昇幅と上がった理由
ここで重要なのは、PCX160の上昇額が約4万9500円とPCX125の3倍に達している点です。125の値上げ幅1万6500円は、円安・原材料高・規制対応のコスト分でおおむね説明がつく範囲ですが、160の4万9500円アップはそれだけでは説明しきれません。Hondaは公式に内訳を公表していませんが、一部メディアの分析では「160は欧州輸出比率が高く、為替影響をより強く受けたため」とされています。
ただし、この上昇額が買い控え理由になるかは別問題です。価格.comのレビューでは「2025年モデルに落胆して4代目を駆け込み購入した」というコメントも見られます。一方で、4年ぶりのモデルチェンジで規制対応・乗り心地改善・新装備が一通り入ったと考えれば、5万円弱の差は1日100円程度のコスト増です。3年以上乗る前提なら値上げ分を吸収しやすい計算になります。
DXグレードは日本未発売の現状
よくある誤解として「2025年PCXには5インチカラー液晶のDXがある」というものがありますが、DXは欧州・東南アジア専用で、2025年2月の国内発売時点では日本市場に投入されていません。海外仕様のDXは5インチTFTカラーメーター、Honda RoadSyncによるBluetoothスマホ連携、簡易ナビ表示などを備えますが、国内仕様は反転式モノクロ液晶メーターを継続採用しています。
注意したいのは、海外モデルのレビュー記事を見て「日本でもこれが買える」と誤解するケースです。ベストカーなどの一部メディアは「日本でもマイナーアップデート時にDX追加の可能性」と報じていますが、確定情報ではありません。Bluetooth連携機能を最優先する場合は、現時点ではヤマハNMAX(Y-Connect標準装備)が現実的な選択肢になります。
主要スペックを数値で確認する
新型PCXの素性を判断するうえで、出力・燃費・寸法の数値は欠かせません。125と160のスペック差を1か所にまとめて確認しておきましょう。
エンジン性能と燃費WMTC値の差
データで見ると、PCX125の最高出力は9.2kW(12.5PS)/8,750rpm、最大トルク12N・m/6,500rpm。PCX160は12.0kW(15.8PS)/8,500rpm、最大トルク15N・m/6,500rpm。WMTCモード燃費は125が47.7km/L、160が44.9km/Lで、いずれもクラストップ級の経済性を維持しています。
燃費はあくまでカタログ値である点に注意が必要です。Webオートバイの実走テストでは125で50km/L超、160で46km/L前後という報告もありますが、信号の多い都市部では38km/L程度まで落ち込むこともあります。年間1万km走るユーザーの場合、125と160の燃費差2.8km/L差はガソリン代でおよそ年5,000円。出力差より維持費全体で見たほうが選択判断は明確になります。
寸法・重量・シート高の数字
最初に確認すべきは「自分の体格に合うか」です。新型PCXの全長は1,935mm、全幅740mm、全高1,125mm、シート高764mm。これは身長160cm前後でも両足のつま先が地面に届く高さで、女性ライダーやリターン勢からも扱いやすいと評価されています。車両重量は125で133kg、160で134kgとわずか1kg差しかなく、押し歩きの取り回し感は両者ほぼ同じです。
気を付けたいのは駐車スペースです。原付二種感覚で考えると意外と長く、自宅の駐輪スペースが1.95m未満だと収まらないケースがあります。賃貸マンションのバイク置き場で「全長1.9mまで」と制限されている物件もあり、購入前に巻尺で実寸を確認しておきましょう。フロントタイヤを少し外側に向けて停めると約2.0mのスペースが必要になります。
タンク容量と航続距離の試算
燃料タンク容量は125・160ともに8.1Lです。WMTC燃費から単純計算すると、125の理論航続距離は386km、160で363km。実走燃費を80%の安全率で見積もっても300km前後は無給油で走れる計算です。給油1回あたりのガソリン代は170円/Lで約1,200円台に収まり、月1,000km走る通勤用途なら給油は3〜4回で済みます。
ただし、走り方や気温で実燃費は大きくぶれます。冬場の暖機時間が長い時期は実燃費が10%程度落ちる傾向があり、満タン航続距離が250kmを切ることもあります。長距離ツーリングで使う場合は、残量警告灯(残約1.5L)が点いてからは50km以内で給油するのが安全圏です。
標準装備の中身と使い勝手

装備面は4代目から大きな追加こそないものの、すでに先代で完成度の高い構成だったため、現行ライバル車と比較しても見劣りしません。代表的な装備の使い勝手を実用シーン別に確認します。
スマートキーとUSB Type-C充電
まずやるべきことは、スマートキーの便利さを過信しないことです。新型PCXはHonda SMARTキーを標準装備しており、キーを携帯したままノブ操作で電源ON、シート開錠、ハンドルロックができます。フロントインナーボックスにはUSB Type-Cソケットが内蔵され、スマホ充電にも対応します。
注意点は2つあります。1つ目、スマートキーの電池はCR2032ボタン電池で寿命はおおむね1〜2年。電池切れに備え、緊急用のメカニカルキー(スマートキー本体に内蔵)の取り出し方を購入時に必ず確認してください。2つ目、USB Type-Cの出力は5V/2A程度で、最新スマホの急速充電(PD対応)には非対応です。長距離ツーリング中の充電を当てにする場合は、モバイルバッテリーを併用するのが現実的です。
30Lメットインの実用シーン
ポイントは「フルフェイスがそのまま入るか」を必ずカタログ値で確認することです。新型PCXのラゲッジボックス容量は30Lで、ハーフフルフェイス(ジェット型寄りのもの)は問題なく入りますが、外径の大きいフルフェイス(特にSHOEI X-Fifteenなど)はサイズLで入らないケースがあります。アライ・ショウエイの公式ページにはバイク車種別の収納可否情報があり、購入前に型番ベースで確認できます。
失敗例として多いのが「Mサイズで試着してから買い、Lサイズが入らないと気づく」ケースです。30Lはクラストップですが、無限ではありません。普段使いの想定を「ヘルメット+A4書類+雨具」レベルにするなら容量に余裕がありますが、買い物用途で2L牛乳パック2本+食品となると、ヘルメットを別バッグに移す必要が出ます。
「JF56から乗り換えました。タイヤが新しいせいもあるけれど、段差を超えたときの腰への突き上げが明確に減っています。ハンドルの細かい振動も抑えられていて、長距離での疲労感が違いますね。」
― Webオートバイ 2025年型PCX試乗記より要約
ABSとHSTC(トルクコントロール)の役割
装備の中でも安全性に直結するのがABSとHSTC(Honda セレクタブル トルク コントロール)です。新型PCXは前後ABSとHSTCを標準装備しており、雨天時のマンホールや白線上でのリアタイヤ空転を抑制します。HSTCは右ハンドルスイッチで一時的にOFFにすることもでき、雪道脱出など特殊状況で活用できます。
ただしABSもHSTCも万能ではありません。砂利や落ち葉が多い路面ではABSが介入してかえって制動距離が伸びるケースが報告されており、メーカーも公式に「制動装置の効果を保証するものではない」と明記しています。雨の日はHSTCがあっても、ブレーキ開始位置を晴天時より5m手前にする習慣を付けてください。
| 項目 | 4代目(2021年型) | 5代目(2025年型) |
|---|---|---|
| 価格(125・税込) | 363,000円 | 379,500円 |
| ヘッドライト | 横長LED | V字型LED一体 |
| リアサス | 標準ショック | リザーバータンク付 |
PCX 125と160どっちを選ぶ?ライバル比較と購入判断のすべて

選び方の前提:通勤距離と高速利用の有無で90%決まる
30km圏内の街乗り中心ならPCX125、高速道路を月1回以上使うならPCX160。価格差8万2500円・税金1,200円差・任意保険のファミバイ特約可否で年5万円以上の維持費差が出るため、最初の判断軸は「高速に乗るか」だけで構いません。それ以外の比較項目(出力差・燃費差・体格差)は決定要因にはほぼなりません。
たとえば家族の自動車保険にファミバイ特約を付けて年1万円で済ませたい人は迷わず125、片道50km以上の通勤や月1の県外ツーリングがある人は160が現実解になります。
125と160のどっちが自分に合う?4つの判断軸
125か160かで迷ったときに役立つのが、用途・維持費・体格・価格の4軸での比較です。一つひとつ自分の状況に当てはめると、ほぼ自動的に答えが出ます。
高速道路に乗るかどうか
結論から言うと、これが最重要の判断軸です。125ccは法律上、高速道路や自動車専用道路に乗れません。これは速度の問題ではなく道路交通法の制約で、技量がいくらあっても125では乗れない区間があります。バイパスでも「125cc以下通行禁止」の表示が出る区間が多く、地方部では迂回距離が10km以上増えるケースもあります。
一方で気を付けたいのは、「高速にいつか乗るかも」という可能性論で160を選ぶ落とし穴です。実際の所有者アンケート(バイクブロス調査)では、PCX160オーナーのうち月1回以上高速を使う人は28%にとどまります。年に1〜2回しか使わないなら、レンタルバイクや代替手段で済ませて125を選ぶ方が経済合理性は高くなります。
維持費(税金・自賠責・任意保険)の差
データで見ると、年間維持費の差は約3万〜5万円です。125ccは軽自動車税2,400円/年、自賠責保険3年契約で9,440円。任意保険は親・配偶者の自動車保険にファミバイ特約として年8,000〜15,000円で付けられます。一方、160ccは軽自動車税3,600円/年、自賠責3年契約11,540円、任意保険は個別契約となり等級によりますが年30,000〜60,000円が相場です。
注意点として、ファミバイ特約は便利な反面、対物・対人補償が無制限でも車両保険が付かないケースがあります。盗難リスクが高い地域に住んでいる人や購入直後の数年は車両保険を付けたい人は、160ccで個別契約にしたほうが安心です。「125は維持費が安い」を一律に信じず、補償内容まで含めて比較しましょう。
注意
PCX160を選ぶ場合、任意保険はファミリーバイク特約が使えず個別契約になります。21歳以上・等級6級スタートで初年度保険料は4〜6万円が一般的で、見積もり段階で必ず保険料を含めた総コストを試算してください。
体格と取り回しの違い
意外と見落とされがちなのが体格と装備重量の関係です。新型PCXは125・160ともにシート高764mm、車両重量133〜134kgでほぼ同じ。スペック上は身長155cm程度から両足つま先が届きますが、実際にはタンク幅とシート前端の絞り込みで体感の足つきが変わります。冬装備(厚手のブーツ・パンツ)でグリップ感が変わり、夏より1cm程度低い感覚になることもあります。
失敗しやすいのが「カタログ値だけで判断する」ケースです。試乗で必ず確認したいのは、停止状態からの押し歩きと、左折直後の取り回し。教習所のスラロームより低速の駐車場での操作のほうが現実的に多いシーンです。可能なら荷物を載せた状態で試乗させてもらい、リアの重さも体感しておきましょう。
価格差8万2500円の費用対効果
125と160の場合と、車種クラスを跨いだ比較の場合で、対応が変わります。同じPCXシリーズ内では8万2500円の差で「高速利用権」と最高出力3.3PS差を買うことになります。3年保有・年間1万km走行を前提に試算すると、価格差を月割りすれば約2,300円です。月1回以上高速を使う人にとっては高速代と時間短縮で十分元が取れる計算ですが、利用回数が年数回なら割高な投資になります。
補足すると、リセールバリューにも差があります。中古市場ではPCX160のほうが残価率が高く、3年後の下取り価格差は車両価格差より小さくなる傾向です(約2〜3万円差まで縮まる例が一般的)。長期保有を前提にする人は、購入時の価格差ほど実質負担は大きくないと考えておけます。
旧モデルから乗り換えるべきかの判断
すでに4代目PCXを所有している人にとって、5代目への乗り換えは「投資としてどうか」が論点です。一方で新規購入を検討している人は、納期や保証の選び方など、乗り換え組とは違う注意点があります。ここでは2つのケースを分け、判断軸と具体的な確認ポイントを整理します。
4代目JK05からの乗り換え価値
結論から言うと、4代目(2021〜2024年式)からの乗り換えは「乗り心地と外観の刷新に5万円超を出せるか」次第です。エンジン出力・燃費・装備の中核は変わらないため、性能面の上積みはほぼゼロ。一方で、リアサスのリザーバー化とハンドルのダイナミックダンパーは、長距離での疲労感に明確な差を生むという声があります。
ただし、4代目を1〜2年しか乗っていない場合、買い替えコストは下取り差額を含めて10万円以上になることが一般的です。注意したいのは「下取り査定が思ったより安い」ケース。バイク王などの一括査定では、5代目発表後に4代目の中古相場が下落する傾向が見られます。乗り換えるなら新型発表直後の比較的早いタイミングのほうが、価格差を抑えやすくなります。
新規購入で必ず確認したい2点
最初に確認すべきは、納期と店舗保証の2点です。新型PCXは2025年2月発売直後から人気カラー(マットスターリーブルーメタリック・パールマゼラニックブラック)で2〜3か月の納車待ちが発生しており、夏のツーリングシーズンに間に合わせたい場合は3月までに発注する必要があります。新車保証は2年/2万kmが標準ですが、ホンダドリーム店では延長保証を有償で追加できます。
注意点として、ネット販売店や格安ショップでの購入は、保証適用やリコール時の対応で不利になることがあります。リコール対応はメーカー指定店であればどこでも受けられますが、購入店ではない店舗での修理は工賃の優遇がありません。長く乗るつもりなら、自宅から30分以内のホンダドリーム正規ディーラーで購入するほうが結果的にコストパフォーマンスは高くなります。
ライバル車との比較:NMAX・アドレス・リード

125ccクラスは選択肢が豊富で、PCX以外の有力ライバルとの比較は欠かせません。代表的な3車種それぞれと比較し、PCXがどの位置にいるかを整理します。
ヤマハNMAX125との比較
ここで重要なのは、PCXとNMAX125の差は「快適志向」か「走り志向」かに集約される点です。NMAX125はVVA(可変バルブ)搭載で高回転域の伸びがよく、TCSとY-Connect(スマホ連携)を標準装備。価格は約38万5,000円とPCX125とほぼ同等です。一方PCX125はメットイン30L(NMAXは23.5L)と航続距離で優位、足回りは新型でほぼ追いついています。
気を付けたいのは「数値だけを見て決める」ケースです。Y-Connectでスマホ連携を多用する人や、片道20km以上のワインディングを楽しむ人にはNMAXが向きますが、買い物や通勤で積載重視ならPCXの30Lメットインが効きます。試乗ではコンビニ袋・カバン・ヘルメットを実際にメットインに入れて、自分の使い方に合うか確認するのが確実です。
スズキアドレス125との比較
ポイントは、アドレス125は「割り切り型の通勤特化」だという点です。価格は25万7,400円とPCX125より12万円以上安く、車重も108kgで軽量。通勤の足としてはコストパフォーマンスが圧倒的に高い反面、装備は質素でスマートキーやUSB充電は省略されています。最高出力は8.7PSとPCX125の12.5PSより約4PS低く、登坂や2人乗りでの余裕は小さくなります。
「安いから」で選ぶときの落とし穴があります。アドレス125は通勤片道15km程度までなら十分快適ですが、片道25km以上や週末ツーリングでの長時間走行ではシートクッションや風防の違いで疲労度に差が出ます。年間走行距離が3,000km未満で予算を抑えたい人にはアドレス、年5,000km以上走るならPCXの方がトータルコストで逆転する計算です。
同社リード125との立ち位置
よくある誤解として「リード125はPCXの下位モデル」というイメージがありますが、用途が明確に異なります。リード125は税込31万4,600円、メットイン容量は37Lとクラス最大級で、ジェット+シールド付きヘルメット2個を収納可能。スポーティさは控えめでもシティコミューター特化型として独自の強みを持ちます。
選択を間違えやすいのは「PCXのデザインに惹かれて、結局メットイン容量に困る」ケースです。買い物・配達・送迎が多い人にはリードのほうが実用性が高くなります。一方、長距離も視野に入れる人や、所有満足度・走りの上質感を求める人にはPCXが合います。デザインだけで決めず、メットイン容量と走行距離を軸に選ぶのが失敗しないコツです。
試乗インプレと所有者の声から見える実力
カタログだけではわからない「乗ってみた印象」と「半年〜1年所有してわかった点」を、複数のレビューから整理します。
高速安定性と段差吸収の改善
実際にやってみるとわかるのですが、新型PCX160の高速80km/h巡航での安定感は、4代目より明確に上がっています。タンデムでの試乗インプレ(タンデムスタイル誌・2025年4月)では「100km/hまで加速の伸びは旧型と変わらないが、80km/h以上での車体の落ち着きが違う」と評価されています。リアサスのリザーバータンク化により、高速継ぎ目を超えたときの上下動の収束が早く、後輪のバタつきが減りました。
一方で気を付けたい点もあります。試乗時間が10分程度では足回りの違いを実感しにくく、購入後にディーラーに「思ったほど変わっていない」と相談する声も出ています。試乗は最低30分以上、できれば段差や継ぎ目の多いコースを含めて行ってもらうよう、販売店に事前に依頼するのが確実です。
「125を3年乗ってから160に乗り換えました。高速で帰省するときの安心感が違います。一方、街乗りでは125のほうが軽快で楽しい。両方乗った今ならアドバイスは明快で、自宅から30km以内が生活圏なら125、それを超えるなら160です。」
― 価格.com PCX160 ユーザーレビュー(2025年4月投稿)より要約
残る不満点と注意ポイント
「これだけは改善してほしかった」という声で多いのは3つです。スマホ連携機能が国内仕様で省略されたこと、ハンドルカバー追加でスマホホルダーやバッグフックの取付自由度が下がったこと、価格上昇幅(特に160)に対する違和感、の3点。価格.comの2025年モデル投稿でも繰り返し指摘されています。試乗ではスマホホルダー(カエディアやデイトナRG-540)の装着可否を確認しておくと、購入後の追加費用を抑えやすくなります。
次にやること(最短ルート)
- 高速道路に月1回以上乗るか自問し、125か160を一次決定する
- ホンダドリーム店または正規取扱店に在庫と納期を電話確認する(人気カラーは2〜3か月待ちあり)
- 30分以上の試乗ができる店舗を選び、シート高764mm・車重133kgの取り回しを必ず体感する
- 任意保険を見積もる(125はファミバイ特約/160は個別契約)
- 乗り出し総額(本体+登録費+自賠責+任意保険)で予算オーバーがないか確認
購入前チェック(1分版)
- 通勤・通学ルートに自動車専用道路や高速がないか
- 自宅の駐輪スペースが全長1,935mm×全幅740mmに収まるか(推奨2.0m)
- 任意保険をファミバイ特約で済ませる予定か個別契約か
- 所有予定のフルフェイスヘルメットが30Lメットインに入るかメーカー値で確認

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